2024年は日本におけるプライベートエクイティ(PE)にとって複雑な一年でした。取引の数ではアジア太平洋地域で最も活発な市場を維持しつつも、2023年の巨大な取引の不在が取引価値の低迷を招いています。
ファンドの調達では他の地域を大きく上回り、企業がポートフォリオの合理化を図る際の出口戦略としてPEがますます受け入れられ、価値を見出され始めている様子がうかがえます。
日本の政治経済の安定、低金利、規制や活動家からの圧力が増加していることから、取引への勢いが増しています。特に2024年後半は過去10年で最も多くの取引が発表されました。
取引件数はトレンドとして上昇していますが、2023年のような巨大な取引が無いため、取引価値全体は大幅に減少しております。これは、より高いリターンを求める圧力が高まる中、中小規模取引が増加する地域全体の動向の一端を反映していると言えます。
また、日本はファンドの調達において2024年アジア太平洋地域を牽引しましたが、大規模なエグジットはそれに応じて増加しないという問題も指摘されています。これは、出口投資比率が低い状態が続いていることからも明らかです。
高いエントリーマルチプルや、強い株式市場のパフォーマンスを基準にした高い評価価格の期待が原因である可能性が考えられます。
出典 : アジア パシフィック プライベート・エクイティ年鑑2025 日本版 ‐ Asia Pacific Private Equity 2025 Almanac Japan edition | デロイト トーマツ グループ https://www.deloitte.com/jp/ja/Industries/investment-management/perspectives/ap-pe-almanac2025-japan.html